夏芽さやまみどり微醗酵茶

夏芽による微醗酵茶の製造が終了しました

 

最後を飾ったのは狭山品種のルーツと称すべき、晩生品種「さやまみどり」・・・

 

【さやまみどり摘採】撮影:7月3日 8:31am

入間市根岸地区にある圃場、やぶきた種より4日遅いとされる晩生品種です。5日前に観察したときには、まだ不揃いだった夏芽が摘採の適期を迎えていました。夏芽「さやまみどり」の微醗酵茶は初めての体験。楽しみが募ります。

 

 

【萎凋工程】撮影:7月3日 10:22am

日光萎凋開始から一時間が経過しています。陽が高くなり、気温は30℃を越えてきました・・・ ひやひやしながら見守っています。

 

 

【萎凋葉】撮影:7月3日 10:27am

第三葉が良い具合に萎れてきました。茶葉の色も濃度を増し、そろそろ頃合いです。

 

 

【荒茶外観】

「さやまみどり」は昭和28年埼玉県で選抜され、農林登録された品種第一号。宇治在来種からの選抜です。この頃に登場した古の品種には、在来種の特徴を色濃く残しているものが多いようです。最も目につくのは、極太の軸。この品種をこよなく愛した、備前屋の先代は「鯛の骨」と称していました。

 

 

【荒茶水色】

琥珀色の濃い抽出液。夏芽とは思えないほどに、はっきりとした萎凋香を感じます。一番の特長はその味覚にあります。舌に触るものが皆無の濃厚な味・・・ 例えれば、母親の愛情にスッポリと包まれているようかのように暖かく、安心感のある印象です。以前、埼玉県茶業研究所が発刊している機関紙『茶業技術』のアーカイブを観る機会がありました。「さやまみどりは春芽・夏芽に限らず、全て萎凋すべきである」・・・ おそらく品種登録に尽力された、太田義十氏が執筆されたものだと推察します。今回の製茶で、あの記事が正鵠を射ていたのをつくづくと実感しています。このままSingle Origin で販売するのもありかな?などと想像がふくらみます。

 

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎