宇治抹茶の世界part2 〜 桑原善助商店

宇治抹茶問屋の老舗 桑原善助商店は宇治市木幡の住宅街に静かにたたずんでいました。

以前は辺り一面茶畑だったのが、今や完全な住宅地になってしまったそうです。JR・近鉄両駅からの徒歩圏内にあり、京都駅まで20分以内の利便性ゆえ、やむを得ない事情なのかも・・・ 狭山との共通点です。

 

店舗外観

路地に面した本社・工場は宇治の老舗らしい雰囲気を湛えています。

 

再製工場

早速 案内いただきます。碾茶はダンボールでなく、大海での流通が中心のようです。年季の入った茶箱は「山城櫃(やましろびつ)」・・・ ちょっとうらやましい。

 

石   臼

抹茶工場といえば、電動の石臼。以前、別工場でガラス越しに見学した事があったけれど、間近で見るのは初めて。60台もの石臼が稼働中でした。

 

抹茶挽き

石臼上の漏斗の様子。中心の金属バーは漏斗出口が空洞にならず、きちんと碾茶が石臼に落ちるようにするための大切な器具だそうです。石臼一台当たりの処理量は わずか800g/日(24h) との事。

 

抹茶挽き2

稼働中の臼を見回りながら、石臼挽き と粉砕加工の違い、原料による色の違いetc. を拝聴します。宇治抹茶の表現でよく使われる「昔(八十八夜前後製造品)」と「白(九十九夜前後製造品)」の製品特長など、加工に携わっていなければ 決して判らない事も、惜しげもなく披露いただきました。時間がいくらあっても足らないほど・・・。

私達、茶問屋は流通を担いながらも、同時に製造メーカーでもあります。消費者に渡る商材の最終加工を担当するのは、商品としての茶と産地に対して責任を負うという事。桑原さんのお話をうかがっていると、宇治抹茶を単なる商品として扱うのではなく、この上ない愛情を注いでいるのが ひしひしと伝わってきます。

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎