琥白用「ふくみどり」の再製
年末・年始の受注に備え、琥白用原材料の再製を行いました

使用したのは入間市根岸産ふくみどり・・・

【火入れ工程】
火入れ作業には台湾製焙茶機を使用しています。通常「ふくみどり」種では90~120分ほどの作業ながら、今回は234分間にも及びました。火入れ開始から一時間ほどで、微醗酵荒茶に固有の青く生っぽい香気が消え、ふくよかな萎凋香が漂い始めます。そして時間と共にその厚みを増します。その頃には味覚に軽やかさが生じ、90分を過ぎれば荒茶のくどさが消え、限りなく無味に近づきます。やがて馥郁たる香気との良好な調和が実現し、火入れ作業を終了します。今回これほどの時間をかけられたのは生茶葉の資質に対し、萎凋・発酵工程が適切だったためと一人ほくそえんでいます。
【外観】
仕上げ・火入れの再製工程が終了しました。荒茶の再乾工程で時間をかけすぎたためか、せっかくの白毛がつぶれてしまいました。その代わり茶葉のカール具合は絶妙、色沢も良好 ・・・ 中々にグッドルッキングな外観です。

【水色】
琥珀色の水色、口に含めば熱い塊が口全体にしみ渡るようです!華やかな味が喉の奥に向かって徐々にフェイドアウト・・・ 口中には厚みのある優しい萎凋香がいつまでも響いています。そして渋みも雑味も一感じられない濃厚な味わいが続きます。微醗酵茶『琥白』は合組作業により完成する商品で、「ふくみどり」以外にも「ゆめわかば」「さやまみどり」「むさしかおり」「ほくめい」等の品種を同時に使用しています。埼玉県で選抜・登録された品種は全て煎茶用品種ゆえ、発酵に適しているとは限りません。それでも萎凋能力に優れたものが多く、この上なく個性豊かな資質を備えています。それぞれの特長を引き出す萎凋・発酵工程を経て生まれた微醗酵茶達を組み合せることにより、『琥白』が誕生します。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎
