新茶手摘み野木園やぶきた萎凋香
「ふくみどり」「ゆめわかば」に続く手摘み第三弾はオーソドックスな「やぶきた」種・・・
本来ならば「ふくみどり」の次の予定でした・・・
【やぶきた手摘み】
煎茶用の本命品種ながら、今年はスロースターターです。というより「ゆめわかば」の生育が順調すぎたのでしょう。
【摘採した生茶葉】
ほとんどが一芯三葉の極めて若い芽たち
【萎凋工程】
強い日差しを避け、日光萎凋は寒冷紗の下で行いました
【仕上り外観】
こちらも「ふくみどり」「ゆめわわかば」同様、奥富雅浩氏に製茶を依頼しました。外観は狭山二品種と大いに異なっています。真っ先に目を引くのはその色沢で、本茶(葉の部分)が黒光りしています。私ら狭山の茶商が「紺が乗る」と称する典型的な美しい外観! 半面、手揉み茶然とした「剣先」の残る茶葉はほとんどありません。精揉工程での揉み方の違いかと思われます。いずれにしろ野木園手摘み茶らしい、どっしりとして存在感のある茶葉外観です。
【水色】
この品種は萎凋に向かないと言われていますが、経験上そのように感じたことはありません。濃厚な滋味と軽やかな萎凋香の取り合わせにより、萎凋香「やぶきた」は合組の中心的役割を担ってくれます。奥富氏の製茶により、この品種らしい厚みのある味と端正な萎凋香の調和が上手に図られています。澱の少ない美しい抽出液には、渋みが極めて少ない作柄と相まって「やぶきた」種の長所がみごとに溶け込んでいます。今年度産の野木園手摘み煎茶は、久しく忘れることのできないほどの上質さを含んでいます。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎