復活! 古の狭山品種「おくむさし」
新植から2年、昨年五月に製茶した微醗酵茶「おくむさし」の商品化に取り組んでおります。
【おくむさし新植】 撮影:2018年4月6日
昭和37年に農林登録されたものの、幼木時の耐寒性の問題と経済上の理由からさほど普及はしなかったようです。ほぼ絶滅危惧状態にあったこの品種の復活に取り組み、今年度 5月12日に初の手摘みと製茶を行いました。
【仕上げ工程】
製茶直後の試飲ではさほど印象に残らず、そのまま保管していました。熟成がピークに達する今、時節到来です。
【火入れ工程】
火入れから60分ほど経過した頃、初めて経験する甘い香りが・・・ 砂糖の焦げる匂い・・・ カルメ焼きのような?
【仕上り外観】
火入れが完了し、粗熱の去った茶葉からはプリンスメロンのような香気を感じました。飲んでみると実に 様々な香りが入り混じり、煎を重ねるごとに印象が変わります。五煎目にはメントール香がありました。初めて体験する複雑で厚みのある萎凋香です。
【茶殻】
この内質の豊かさは葉肉の厚い品種ゆえ、萎凋と発酵処理に時間を割いた効果でしょうか? 火(入れ)が馴染む数日後、改めて確認しましょう。「おくむさし」は私が就業した30年ほど前にはすでに希少品種になっていましたが、狭山茶のエキスのように濃厚な味と どっしりとした萎凋香を忘れることができません・・・ 消えてしまうにはあまりに惜しい。まだ復活の途に就いたばかりながら、充分な手応えを感じる初年度の出来栄えです。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎