狭山茶火入れ

外気温が15℃前後の朝、火入れ作業が楽しい気候となりました。

茶が熟成を重ね 本領を発揮する時季、火入れの手応えが実感しやすい季節の到来です。

 

【火入れ専用ほいろ】

間口100㎝ほどの小振りな「ほいろ」があり、日頃から手摘み茶を中心とした上級茶の火入れに使用しています。助炭の和紙には小麦粉の糊をうち、熱源は電気ゆえ 移り香の心配も皆無です。

 

【盛り火】

「やぶきた実生」の引き合いがあり、少量ゆえ久し振りに「狭山茶火入れ」を実施。最初は「盛り火」・・・ 茶の山を移動させ茶温を整える予備乾燥工程です。

 

【摺り火】

茶温が上がり均一になったら「摺り火」に移行。掌で助炭面に茶を擦る「狭山茶火入れ」のハイライト・・・ 物理的な力を加えることにより茶葉表面に細かな傷がつき、次工程で火が入りやすくする作業です。茶温が急ピッチで上昇し、茶の表面が滑らかになるのが感じられます。宇治にも静岡にもない(おそらく)狭山に特有の火入れ工程です。

 

【抱き火】

「盛り火」と同じ作業ながら茶は滑らかに動き、茶温はずっと高く 掌は真っ赤になるほど・・・ 作業の終了が近づいています。

 

【終了】

作業開始から約90分。「狭山茶火入れ」とは茶葉に高温を加えることではなく、時間をかけて火入れを施すのが神髄・・・ 以前 指導を受けた茶業試験場の先生から教えられました。

 

【完成】

通称「まんじゅう」とよばれる底の浅いカゴに和紙を張った器に移し、茶温を鎮めて完成・・・ 茶葉が白ずれしているのが判るでしょうか? 「狭山茶火入れ」のメリットは 茶葉が蒸れないため香味が澄んでいる事、一年以上を経ても経時変化がほとんどない事、ほいろ香(糊香)が着く事・・・ 内質には良いことずくめながら、問題は作業効率でしょうね。

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎