苗木「おくむさし」の生長

茶農林26号「おくむさし」の苗木が順調に生育していました。

埼玉県で選別・登録された第2号・・・「さやまみどり」と「やまとみどり」の農林登録品種同士の掛け合わせから誕生した初の品種です。

 

【苗床の状態】左:平成29年3月1日  右:平成30年2月21日

昨年、寒冷紗で覆われたトンネルの中で、一年生苗はまだ数cmほどの状況。一年後「おくむさし」は40cm以上に生長しており、路地栽培となっていました。

 

【苗の状態】左:平成29年3月1日  右:平成30年2月21日

一年生苗では一番大きくても長さ10cm未満だったものが、現在では40cmほどにも生長。最近の品種に比べて茶葉の幅が広く、無骨なまでにたくましい外観。厚みがあって、ツバキ科らしい表面の光沢が すでに見てとれます。

 

【おくむさし生茶葉】平成22年5月28日

私の知る中では、現在狭山で栽培している生産家は一人だけ。限りなく絶滅危惧種に近い品種です。経済性や栽培上の問題があったとも仄聞しますが、もともと、さほど普及しなかった品種のようです。「おくむさし」が登録された昭和40年代、すでに狭山も「やぶきた」一辺倒になりつつあったのでしょうか。

写真は萎凋中のものですが、現在この茶園はすでにありません。それでも、地から湧き上がってくるようにドッシリとした萎凋香と狭山茶の個性を絵に描いたように濃厚な「滋味」は舌に刻みこまれています。今春「やぶきた」園の一部を改植する予定・・・ 初摘採は東京オリンピック以降になるでしょう。

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎