蒸し製「 むさしかおり」

茶農林四十六号「むさしかおり」、新たな萎凋香がラインアップに加わりました。

埼玉県茶業試験場での求評会で最初に試飲したのは十年以上前のこと。そのときはあまり印象に残る品種ではありませんでした。

【萎凋工程】

花粉親は狭山茶品種のルーツ「さやまみどり」と台湾烏龍茶品種「硬枝紅心」の実生との交配という、ドキドキするようなDNA を持つ品種。ただし、さほど普及が進んでいないようです。乗用型摘採機が標準となった狭山では、開張型の樹姿が敬遠されるのでしょうか。

 

【むさしかおり外観】

5月21日入間市 市川喜代治製。若木の割りに黒い軸が目立たず、葉の部分がしっかりとした印象。葉肉も厚そうで、「さやまみどり」との共通点を感じます。

 

【むさしかおり水色】

青すぎることなく、狭山茶らしい水色。口に含めば萎凋香を感じます。それは「華やかな」というフルーティーなものではなく「どっしり」とした印象で、香味一体となって伝わってきます。ほのかに残る渋みが、コクのある濃厚な味に奥行きを添えています。

初登場の萎凋香特性。茶産地狭山の上級茶を担う品種に成長してほしいものです。