秋 木犀の頃
最近、夕焼けが美しい。いま一つスッキリしなかった夏の反動? あるいは 秋分の日を前に、日暮れが早くなっているためかもしれません。
今の時季、日没時間は6時頃。店仕舞いの時間に重なり、夕焼け空を目にする機会に恵まれています。
9月12日18時08分の西空
周囲が黄色く見えたので外に出ると、美しいというより荘厳な夕焼けが出現していました。通常の秋の夕暮れとはいささか違う風情。東空には虹も見えたので、大気中の水蒸気が多かったようです。
銀 木 犀
店庭に銀木犀の木があり、先週から甘い香りを放っています。このうえなく判りやすい芳香の反面、その期間は意外と短いもの。秋の訪れを告げる香りです。
銀木犀の花
華やかな金木犀に比べ、香りは控えめ。濃厚なオレンジ色に対し、銀木犀の花は白色に近い。ミッキーマウスの手を思い出す、ほほえましい容姿です。
中国の岩茶「肉桂」は木犀の香りを持つと言われています。「桂林という小さな村がある。キンモクセイの花々が一面に咲き乱れ、その香りに包まれていると、人間でさえ、はかなさと華やかさの境界線上を漂っているような錯覚に包まれるのだから、純粋な茶樹はいたって自然に、素直にキンモクセイの花と響きあっているに違いない」(左能典代著「中国名茶館」より抜粋)。
萎凋中、茶葉から放たれる香りは魅惑的なこと このうえなし! 特に萎凋の早い狭山品種は顕著です。でも残念ながら、いまだかって木犀ほどに甘く濃厚な香りに出会った事はありません。かほどに芳醇な萎凋香を持つ生茶葉・・・ いつの日にか経験することができるでしょうか。
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎