ジキルとハイド 太平猴魁(たいへいこうかい)

中国産緑茶「太平猴魁」。とびっきり個性的な外観を写真で見て以来、ずっと憧れていました。ついに そのときが・・・!

 

ちょうど釜炒り製半醗酵茶づくりを始めた頃、手当り次第に購入した台湾・中国茶本の一つ、菊池和男著「中国茶巡礼」に掲載されていた美しい緑茶。心樹庵 米山穂高さんから贈られました。

 

外  観

第一印象は、緑茶の薄焼きせんべい・・・ 芯も葉も軸も一枚(?) に成形された、この上ない個性派。茶葉を観ても 葉なのか、芯なのか、軸なのかさっぱり判らない。摘採具合もわからない。とにかく不思議な外観。ローラーで引き伸ばしながら製茶したようで、布目がプリントされた茶葉が目につきます。

 

抽  出  

大柄の外観ゆえ、ボウルとレンゲで抽出します。茶を淹れるというより、緑茶のミネストローネ?

 

茶  殻

これは一芯三葉でした。これが一枚の平たい茶葉に圧縮され、複雑な外観の色合いを構成しています。

 

香  味

口に含んで、真っ先にイメージしたのは漢方薬。まるで薬のような香気、そして明らかな苦渋味。二煎目も同様です。肩透かしを食らったと思いきや、三煎目で 印象が一変・・・ 甘い!  五・六煎目では一層マイルドになり、七・八煎目では 甘みに旨みが溶け込み、まるで上質な昆布出汁!  九煎目以降は ただただ 甘みだけが口を支配する・・・ 不思議な ふしぎな味。

こんな茶があるんだ・・・ まるでジキルとハイドのよう・・・ いや二重人格どころではなく、千変万化の Flavor・・・ とんでもない緑茶なのかもしれません。

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎