ウンカ芽紅茶
ウンカ芽『ふくみどり』の紅茶・・・ 今期最後の微醗酵茶をつくる際、1ロット全醗酵茶に挑戦・・・ 何といっても、せっかくのウンカ芽ですから。
釜炒りを始めてから、何度か紅茶づくりをやってみたものの、満足にはほど遠いものばかり。最たる理由はその香気。どんなに頑張っても、せっかくの萎凋香が製品に反映されない・・・ 半醗酵茶では、それなりの手応えがあるのだけれど。
萎凋中の生茶葉
チャノミドリヒメヨコバイ(ウンカ)の持つ加水分解酵素により、加害された茶葉が生長障害を起こし変形した生茶葉。鼻に近づけると、すぐに甘い萎凋香を感じます。
紅茶という事で、ひたすら屋内での静置萎凋に徹します。萎凋槽や送風設備もないので、均等に萎凋するよう配慮しながら 時間をかけるだけ・・・ 水分残量は50%未満でした。
茶葉外観
使用した「望月式」揉捻機は半醗酵茶には不可欠な道具ながら、紅茶用には不向きな機械。それは茶葉の色沢に及ぼす影響のため。そして 今まで紅茶に手を染めなかった最大の要因でもありました。
今回は揉捻に工夫を加え、ささやかながら ゴールデンチップが表現されています。
茶 殻
緑茶用品種ながら、きれいに転色したように思われます。
水 色
緑茶用品種で製茶した紅茶で 一番気になるのが水色です。どうしても紅色にならず、茶系色になってしまう。ひとまず 今回は 「紅」に染まってくれました。抽出液からは甘い萎凋香が感じられ、「ウンカ芽」の威力を思い知らされます。惜しむらくは、紅茶本来の硬質で緊張感のある風味がない。それこそが全醗酵茶=紅茶の最大の特長なのに・・・ 醗酵工程かなぁ?
狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎