釜炒り製 夏芽ふくみどり

今年度の釜炒りが終了しました。品種は私の大好きな「ふくみどり」。しかも ウンカに加害された夏芽。最後に大きなプレゼントが待っていました。

狭山には萎凋香性能に優れた品種がいくつも存在します。「さやまみどり」「むさしかおり」「ゆめわかば」・・・ 最も微醗酵茶に向くのは、何といっても萎凋の進行が極めて速い「ふくみどり」。

「収量が上がらないんだよ、ウンカだね」・・・ 生葉を受け取るとき、生産家がぼやいていました。

 

天日干し=日光萎凋中の生茶葉

「東方美人」「ダージリン セカンドフラッシュ」ウンカ等の虫害を受け、驚くほどに萎凋の芳香を放つ茶があります。私としては願ったりの、この上ない展開。しかも天気は快晴で高温多湿と、絶好の萎凋日和です。

 

屋内萎凋中の「ウンカ芽」

小振りの茶葉。しかも、縮れたり、黒くなったり、波打ったり、曲がったり・・・ 一目で加害された「ウンカ芽」と判る生茶葉。屋内萎凋中の部屋いっぱいに甘い香りが漂います。

 

荒茶外観

めったにない機会なので、三釜分 全て揺青の具合を変え、醗酵度に変化をつけながら製茶します。

これは 一番醗酵度の高いもの。夏芽の割りに白毛が目立つのは、加害された影響でしょうか。渇変も同様に思われます。

 

水 色

オレンジ色に近い・・・ 明らかに濃度ある水色。ウンカ芽のためか、はたまた変化をつけた揺青の効果なのか? いままでと違うものを産み出すのは、とても幸せなこと・・・ 来年への宿題にもなります。平成29年度釜炒り製微醗酵茶づくりは 仕舞い十二分の成果でした。

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎