釜炒り製『むさしかおり』微醗酵茶

こちらも期待通り・・・ いや それ以上かもしれません。蒸し製の煎茶と同じ原葉で製茶した釜炒り製微醗酵茶です。

 

一番茶製造後の作業もほぼ終了。あわただしかった日々も一段落しました。

新茶の業務をぬって製茶した半醗酵茶達。やっとその内質を確認する時間が訪れました。今年は早生・中性・晩生品種の摘採期の差が少なく、短期集中型でした。

 

屋内萎凋中の生茶葉

朝一番、蒸し製緑茶の仕入れが始まるまでのごく僅かな時間ながら、前夜(当日早朝?)製茶したものの試飲だけは必ず行っています。

今シーズンは釜炒り作業開始から、いきなり ぶっ通しのスケジュール。連日・連夜の製茶作業ながらも、この『むさしかおり』の香気は鮮やかに 記憶に残っていました。

蒸し製バージョンが良好だったので、釜炒り製の内質確認作業が待ち遠しかった事 この上なしです。

 

下葉と軸が目立つ外観

生茶葉は細長い楕円形をした形状で、乗用式により丁寧に摘まれた、適期摘採の上質なものでした。それゆえ、器量良しの茶になるものと想像していたのに、ことさら下葉と太い軸が目立ちます。

その軸の色はモノトーン調でなく 完璧な茶色で、殺青は極めて良好。この外観から想像するに、葉肉の厚い品種なのかもしれません。

それにしても 硬そうな軸。惜しむらくは、白毛は全くといっていいほど目立ちません。

 

濃度ある水色

揺青に時間を割いた影響もあるのでしょう、濃く しかも、より深みのある水色となりました。蒸し製同様、濃度ある萎凋香。100%苦渋味Free の重厚な味。馥郁とした香味の余韻がいつまでも響きます。

いままで釜炒りした品種の どれとも似ていない内質。まさしく台湾の血を感じさせる 新たな狭山品種です。

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎