釜炒り製微醗酵茶の製造

五月の風と共に気温が上昇、手摘みが順調に進んでいます。萎凋作業も絶好調。

「ふくみどり」の手摘みを待って、釜炒り製微醗酵茶に取りかかりました。

 

備前屋には年間13品種もの狭山茶が納品されます。

その中でも狭山の煎茶用品種「ふくみどり」は、私の一番好きな品種。その理由は萎凋が 特別に早いから。

 

摘採された生茶葉はまず、天日干し=日光萎凋工程に。半醗酵茶づくりに不可欠の竹製のざる「茄歴(かれい)」の登場です。

 

 

透明度の高い空と強力な初夏の日差しにより、ほんの十数分間で生茶葉の温度が上がり、水分の蒸散を始めます。

日光萎凋を切り上げ、茄歴を工場内へ移動し、屋内萎凋工程へ。

 

 

屋内萎凋工程 → 揺青工程、そして 殺青工程へ。

殺青機から甘い香りが立ち昇り、作業場に漂います。

茶葉の状態を掌でチャックしながらの殺青作業。一年経っても感触というのは思い出せるものです。

 

 

完成した「ふくみどり」微醗酵茶。

この品種の特徴は長い軸、そして芯の白毛の多い事。

シルバーチップが目立ち、見栄えのする外観・・・ それも この品種の好きな要素です。

 

 

淡い琥珀色の水色は相変わらず。

この原材料は昨年『日本茶AWARD2016』でプラチナ賞を受賞したのと同じ茶畑から産出したもの。

そして昨年同様 柑橘系のアロマがあります。

今更ながら 工程だけでなく、生茶葉の資質=品種と茶畑との相性の大切さを思い知らされます。

だからこそ、名産地が存在するのだろうけれども。

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎