1.手摘み茶
【野木園の手摘み】
【野木園の手摘み】

備前屋では優れた萎凋香原葉確保のため、手摘み専用茶園の野木園(自然仕立て茶園)を経営しています。「やぶきた」に加え、「ふくみどり」「ゆめわかば」「みなみさやか」「おくむさし」等、希少品種の栽培により、バラエティーに富む萎凋香を追求しています。

【深刈り】
【深刈り】

手摘みが済んだ野木園の茶樹は地表のすぐ上から刈り落とされます。これは茶葉を間引きして、翌年の新茶期に充実した新芽を収穫するためです。
野木園は年に一度だけしか収穫できない、世界的にも稀有な、このうえなく贅沢な茶園なのです。

【野木園】
【野木園】

翌年の新茶期には女性の胸ほどにまで生長した茶樹。 葉は大きく、葉肉は厚く、軸が太くて長い茶葉は抜群の萎凋香性能を秘めています。
この茶葉でなければ表現できない 繊細で複雑で魅力的な香気が存在します。

【手摘み作業】
【手摘み作業】

野木園は日本全国の茶園面積の0.1%にも満たない極めて貴重な茶畑です。摘採は手摘み以外に方法はなく、摘み娘は長い枝を体に引き寄せ、掌に茶葉を溜めながら下から上へと摘むという無駄のないのやり方でも、収穫量は一人一日5kgが限度です。

【雑木林と野木園】
【雑木林と野木園】

備前屋の茶園は南東側に雑木林が広がり、夏の強烈な日差しや冬の季節風から茶樹が護られ、秋には畝間に落ち葉の提供を受けます。
武蔵野の原風景のような この茶園は萎凋香の上質な芳香を生み出す原点です。

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2.萎凋工程
【日干萎凋】
【日干萎凋】

ストレスを与えられた茶葉は自己防衛反応として香気を放つ習性があり、これを萎凋香と呼びます。
紅茶・烏龍茶といった醗酵茶の製造は例外なく萎凋から始まり、萎凋工程の良し悪しが品質のカギを握ると言われています。

【日干萎凋開始】
【日干萎凋開始】

茶葉が感じるストレスの種類により、生じる萎凋香が変わります。備前屋ではゴザに広げた茶葉を必ず天日に干し、紫外線と急激な水分蒸散のストレスを与え、茶葉の萎れを加速します。

【日干萎凋開始1時間後】
【日干萎凋開始1時間後】 

直射日光を浴びた茶葉は徐々に萎れ始め、水分が表面に浮き、黄緑から青緑に色を変えます。辺りには芳香が漂い始めます。

【萎凋葉】
【萎凋葉】

手に持てば、しんなりと腰を折るほどに萎れています。茶葉の 一・二葉目は水分蒸散により反り返り、三葉目は水分が浮き出て濃緑色になってきました。

【半日陰萎凋】
【半日陰萎凋】

陽光と気温を勘案しつつ、寒冷紗の下に茶葉を移します。こちらでは75%もの陽光が遮られるので、萎凋の進行をペースダウンさせることができます。状況によっては完全な日陰に再移動し、理想的な萎凋香の発揚を追及します。

【萎凋香煎茶】
【萎凋香煎茶】

萎凋工程が完了した茶葉を製茶工場に運搬する途上、車内は萎凋の芳香に満たされ、運転者は至福の時を過ごします。
製茶され、完成したばかりの萎凋香煎茶… 新茶の新鮮な香気の奥から萎凋香が伝わります。

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3.醗酵茶
【微醗酵茶】
【微醗酵茶】

備前屋では萎凋香追及の一環として、狭山茶品種を使用した醗酵茶の製造に取り組んでいます。
台湾の烏龍茶製法に準ずる微醗酵茶の日干萎凋は茶葉を竹で編んだザルの上で行います。

【静置萎凋】
【静置萎凋】

ザルごと屋内に取り込み、静置萎凋を行います。
茶葉が室温まで下がるのを待ち、醗酵作業と静置萎凋を交互に行い、徐々に醗酵度を上げて行きます。

【醗酵】
【醗酵】

醗酵工程が終了する頃には茶葉は青味が濃くなり、表面は水分でしっとりと潤っています。
表面から水分が抜けるのを待ち、製茶工程に移ります。

【殺青】
【殺青】

熱せられた金属円筒に茶葉を投入し、直接熱を加える「釜炒り」製法により醗酵酵素の働きを抑えます。円筒内の温度は200℃ 以上に達し、水蒸気が立ち込め、茶葉は蒸し焼き状態になります。

【揉捻】
【揉捻】

加熱され柔らかくなった茶葉を加圧しながら揉み込こみます。形を整えると同時に、内側から染み出した葉酸がコートされ、茶葉の色と味が濃度を増し、外観も内質も向上します。
この後 乾燥機で水分を調整して、微醗酵茶が完成します。

【再製】
【再製】

色の冴えない大きな葉や飴色の長い軸を手作業で取除く「仕上げ」作業に続いて、仕上がった茶葉に熱処理を施す「火入れ」作業を行います。
外観も味も萎凋香も各段にレベルアップします。

【微醗酵茶 琥白Platinum】
【微醗酵茶 琥白Platinum】

花の様な香りと淡い琥珀色の抽出液、そしてすっきり甘みのあるやさしい萎凋香の味わい… 緑茶でも烏龍茶でもない、新しい日本茶の登場です。緑茶品種使用の微醗酵茶は日本の軟水と調和する、外観も味も香りも水色も、全てにおいて優しい醗酵茶です。

【白茶】
【白茶】  

野木園「ふくみどり」を品評会出品茶同様、一芯二葉摘みします。白茶製法では芯の白毛がそのまま残るため、生長芯が長く、他に類を見ないほどに白毛に覆われた「ふくみどり」が最適な品種です。

【萎凋工程】
【萎凋工程】 

屋内でじっくりと時間をかけつつ、数日間にも及ぶ長時間の静置萎凋を施します。最終的な水分喪失率は70%にも達し、数日を経ても作業場には その香りが残るほどに鮮烈な萎凋香を醸し出します。

【白茶 白瑠(はる)】
【白茶 白瑠(はる)】

芯は白色・葉は緑色… 茶葉の色をそのままに留めた、緑色の白茶。鮮やかな萎凋香と この上なく優しい味わい、日本の緑茶品種ならではの繊細な白茶が完成です。

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4.火入れ工程
【火入れ】
【火入れ】

茶は加熱処理することで保湿効果が高まりますが、同時に内質を飛躍的に向上させることが可能です。これを「火入れ」と称し、様々なタイプの火入れ方法が考案・実用化されています。

【落合式火入れ機】
【落合式火入れ機】

右:自動乾燥機 100℃ 前後の熱風で茶葉の水分を取り除きます。左:ドラム式火入れ機 熱した金属円筒内で、直接茶葉に熱を加えます。自動乾燥機と併用し、香ばしい「火香」を付加するのに優れます。両者とも大量の火入れ作業に向きます。

【伊達式透気乾燥機】
【伊達式透気乾燥機】

昭和40年代に製造された小型の熱風式乾燥機です。茶葉にあまり風を当てない「直火」に近い火入れが可能なため、萎凋香の持続力が長く、独特の香味を育む 個性的な火入れ機です。50kg以内で萎凋香のある高級茶に使用します。

【米澤式製茶火入機】
【米澤式製茶火入機】

昭和30年代に製造された小型火入れ機を炭火用に改造しています。「さやまみどり」の個性的な萎凋香を生かすため、備長炭を使用して火入れを行う専用火入れ機です。
それほどまでに魅惑的な香味を持った「さやまみどり」は狭山でも特別な品種です。

【ほいろ】
【ほいろ】

電熱を使用する小型の火入れ専用「ほいろ」です。風を使用せず、しかも上方が開いているため茶葉の蒸れが皆無ゆえ、理想的な萎凋香の火入れ道具です。一度の処理量は6kg以内と少量のため、手摘み茶の火入れに使用します。

【焙茶機】
【焙茶機】

電熱線の上に竹製の籠が乗った、火入れの原点である「バスケットファイヤー式」そのものの台湾製火入れ機です。「ほいろ」同様 萎凋香に最適な器具として、醗酵茶の火入れに使用します。

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