さやまみどり+備長炭

過ぎ行く秋とともに深まる、茶葉に秘められた萎凋香の実力・・・

 

数ある狭山茶品種の中でも、とびっきり個性的な「さやまみどり」・・・ 炭火との相性が抜群に良好な品種です。

 

【備長炭】

昨年使用し消し壷の中で保管していた「消し炭」にガスバーナーで着火。

 

 

【火入れ機】

使用する火入れ機は横にした円筒の中を2本のブラシが回転しながら茶葉を撹拌するという極めてシンプルなもの。円筒の下にある炭皿に備長炭をセット。10㎏の茶葉に約50~60分間ほどの火入れを施します。備長炭の長所は燃焼中に臭いが出ないこと、そして同じ温度を安定して保ってくれる事・・・ 茶の熱処理に最適な燃料です。

 

 

【茶葉外観】

葉肉が厚く軸の短い品種ゆえ、見栄えしないこと この上なし・・・ さらにブラシで摺られ、白ずれをおこした冴えないルックス。

 

 

【水色】

少々黒めの黄ばんだ抽出液。「さやまみどり」の美点は火入れに対する耐久力・・・ 他の品種と異なり火入れ度合いが強いほどその実力を発揮します。肝心の萎凋香は嗅覚というより味覚として感じられる、めずらしいタイプ。口に含めば穀類を思い起こす味とともに濃厚な香味が広がる一方で、渋味はほとんど感じられません。品種登録より60年以上を経た今でも、その垢抜けない外観と濃度のある風味は良くも悪しくも狭山を代表する個性です。

 

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎