萎凋香「やぶきた」火入れ

秋本番、萎凋香煎茶の火入れに取りかかりました。

霞野用に「やぶきた」を火入れ中・・・ 外気温が20℃を下回り、萎凋香が本領を発揮する時季を迎えています。 

 

伊達式透気棚乾燥機

茶葉の投入は箕を使用しながらの手動ゆえ、少量の火入れにしか使用できない昭和三十年代製造の旧式の火入れ機・・・ ところが手摘みを含め、萎凋香を伴う上物には最適の道具です。

 

火入れ工程

四段ある棚の最上部に茶葉を投入すると5分後に反転し 下の段へ・・・ そのときベルが鳴り、空になった最上段への再投入を促します。その間 他の仕事に移れるものの、いつ点鐘を迎えるのか気にしながらの作業ゆえ 別名「神経衰弱」とも呼ばれています。

 

火入れ終了

全ての棚を通過すると茶葉は機械の底部へ排出され、1ロット分の火入れ完了! この火入れ機の「キモ」は熱風をほとんど使用しない「直火式」・・・ 香気の持続力に優れます。萎凋香主体の備前屋上級茶にふさわしい火入れ機です。

 

仕上品

5月2日市川喜代治製、いまや貴重になった 豊岡地区産「やぶきた」・・・ 日光萎凋処理したもの。合組みでのバランスを考慮し、蒸し塩梅の製茶です。

 

仕上品2

5月1日間野義雄製、根通り根岸地区産「やぶきた」。その抜群の内質は日陰萎凋と地下風送装置による賜物です。霞野は複数「やぶきた」に「ふくみどり」「ゆめわかば」を合組して つくり上げる萎凋香煎茶・・・ 季節も役者も揃ってまいりました。

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎