彼杵の製茶機械(長崎研修part2)

彼杵茶は伝統的に玉緑茶の生産地。釜炒り製だったものが、現在は蒸し製に移り変わってきました。

蒸し製玉緑茶の製茶機械は煎茶とほぼ共通ながら、初めて見学する機会。興味津々です・・・。

【再 乾 機】

煎茶との一番の違いは、最終揉み工程「精揉」の有無。玉緑茶では精揉機に変わって再乾機が設置されていました。中揉機を改造した機種は 私も釜入り用に使用しているけれども、専用機は初めてです。構造は自らの機種と同様ながら、ステンレス製の胴は good looking な事 このうえなし!

 

【釜炒り製玉緑茶用 平釜】

今研修会で一番見学したかったもの。一回当たりの処理量が3kgの小型釜炒り機で、今でも使用可能な機械。本来九州は釜炒り製産地の時代があったそうです。現在、 彼杵で釜炒り製茶に取り組んでいる生産者は、ほんの数人とのこと。蒸し製法に切り替わった理由は生産効率によるものだそうです。

 

【有限会社 茶友 】

長崎県の関係者からぜひ会うようにと勧められたのが、『茶友』の松尾政敏さんでした。「日本茶AWARD2015」 蒸し製玉緑茶部門でプラチナ賞を受賞された方で、心向樹 川口史樹さんの紹介により、今年の3月に備前屋を訪問いただきました。残念ながら留守にしており、お会いできなかったものの、いただいたお茶(実はティーバッグ)が絶品でした。

 

【炒り蒸し機】

製茶工場が稼働中で、工場の外まで芳香が漂っています。秋冬番で碾茶を製造中との事。いただいた茶の秘密がこの機械「炒り蒸し機」で、釜炒りと蒸しを同時に行う「殺青機」でした。

 

【殺青時の生茶葉】

全長がとても長いのは、二種類の機能を兼ね備えているから・・・ 県の関係者が薦めてくれたのは、この殺青方法の評価が高いからに違いありません。

 

【制 御 盤】

この機械は国の事業として松尾さんが借り受けているもので、所有は国にあるそうです。それを示す表示と共に、制御盤には「炒胴排気温度」と「排蒸温度」の2種類の温度計が備えられていました。

これで醗酵系の茶に挑戦したら、どうなのでしょうか? 釜炒り製玉緑茶 → 蒸し製玉緑茶  → 半醗酵茶の時代に移り変わったりして!

 

狭山茶専門店 備前屋 清水敬一郎